港のベンチはある動物の縄張りだった

港のベンチはある動物の縄張りだった アイキャッチ

ガラパゴス諸島。
普通に町中を歩いているだけで生き物との出会いがあるため、「まるで柵のない動物園のようだ!」と表現されることもありますが、私はどちらかというと動物に人間が見物されている場所だという感覚を覚えます。
人間が本格的な入植を始めたのは19世紀になってからということもあり、ガラパゴスの生き物たちは人間をあまり怖がりません。
自ら近寄ってくる無防備なものたちも沢山!
その中でも特に人間を恐れないツワモノ動物がいて、さらにその動物がもはや島のヒエラルキーのトップなのではないかと感じる島があります。

上陸した途端にものすごい声が轟いている島

ガラパゴス諸島の州都、サン・クリストバル島。
サンタ・クルス島からの早朝の定期船で初めてこの島に上陸した私の耳に飛び込んできたのは、
「ア゛ーッア゛ッア゛ッア゛ーーーッ」

「ゥア゛ッア゛ッア゛ッア゛ッ」
という野太い大声合戦。
朝から路上でこんなおじさんたちの叫び声が聞こえてくるなんて、私やばい島に来ちゃったのかもしれない。

到着早々不安になりながら港を出てみると、目の前に飛び込んできたのは

サン・クリストバル島の港前で寝転びまくるアシカたち

…は?

思わずあたりを見回すと、そこらじゅうにアシカ、アシカ、アシカ。
寝ているアシカ、通行中のアシカ、ケンカ中のアシカ。
そこでわかったわけです。
このおじさんの叫び声全部アシカだ。

港から歩き進んでみても

町中で堂々と寝るアシカ

すごく…街に馴染んでます…。

このサン・クリストバル島は「アシカ島」と呼ばれるほど、ガラパゴス諸島でも沢山のアシカが生息している島なのです。
どれだけこの島がアシカ島なのか、それは公園を見ると深刻さがよく理解できます。

アシカ型の遊具

遊具までアシカ型。

これだけアシカの数が多いと、彼らはもはや島の権力者。
人間を恐れないばかりか問答無用につっかかってくることもあります。
今なら理解できます…この島では、アシカ・ファースト。
当時この島初上陸だった私は、アシカ界のルールを理解しておらず大変怖い思いをしたのです。

ただ、アイスを食べたかっただけなのに!


島に到着した翌日、少し汗ばむ陽気だったため散歩中にアイスを買って食べることにしました。
せっかくなので美しいオーシャンビューで優雅にアイスを頂こうと港のベンチに腰掛けることに。

サン・クリストバル島、プエルト・バケリソ・モレノの海

ご覧くださいこの海!なんて綺麗なんでしょう!
この港から覗き込むだけで沢山の魚が泳いでいるのが確認できるんですよ。
もちろん、アシカたちがスイスイと泳ぎ遊ぶ姿だって楽しむことができます。
最高の景色を眺めながらアイスの袋を開けていると、目の前の海でスイスイ泳いでいた1頭のアシカが上がってこちらに向かってきました。
あら、私が美味しそうなもの食べようとしているから見に来ちゃったのかしら。
でもごめんね。ガラパゴスでは野生生物に餌を与えてはいけないの。
柵越しに見せつけてしまうようでほんと申し訳ないけど

…って柵くぐってるし!

ベンチに座る私のもとに迫り来るアシカ

え?と戸惑ってから0.1秒、私は状況を悟りました。
アシカが見てるのアイスじゃない。このベンチだ。
柵をものすごい速さでくぐったアシカはスピードを減速しないままこちらに突進。
露骨に私に怒っている顔。
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ーーーーーーーッ!!!!」という叫び声を上げながら、進撃の巨人さながらの速さで迫って来る。

命の危機!

思わず日本語で「ごめんなさい」と呟いてすぐに立ち上がり避けました。
私がベンチを譲るとアシカは

ベンチを得て満足げなアシカ

この勝ち誇った表情でございます。
どうやらここはこのアシカの縄張りだったようでした。
見渡してみると近くの他のベンチは全てアシカで満席でした、空気を読めばよかった…。
縄張り争いに敗北した私は、アイスを歩きながら食べることになりました。

この島のアシカは強い

それからというものこの島のベンチを注意深く観察していると、アシカに迫られてベンチからの退去を余儀なくされる人をたびたび見かけることとなりました。
本当にこの島のアシカ、強いです。
ガラパゴスの他の島のアシカと比較してもダントツで気が強い。

もしこの島でベンチに座る機会があったら、
①周りにアシカがいないかよく確認して
②座ってからも常に注意を払いながら
③進撃のアシカがやってきたらすぐに立ち上がって譲る
ことを念頭に置いて座ってくださいね。


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ABOUTこの記事をかいた人

ガラパゴスバットフィッシュ愛好家、NPO法人日本ガラパゴスの会スタッフ。たまたま本で見たガラパゴスバットフィッシュに大恋愛し、大学在学中に2度ガラパゴス諸島に渡航、バットフィッシュを観察。 卒業後は、ガラパゴス諸島のチャールズ・ダーウィン研究所のボランティアスタッフとして活動。およそ1年半をガラパゴス諸島及びエクアドル本土で生活した。現在、ガラパゴスバットフィッシュやガラパゴス諸島に関する寄稿、トーク、講演を行っている。