ガラパゴス諸島の無人島フィールドワーク、正直一番困ったこと

ガラパゴス諸島の無人島フィールドワーク、正直一番困ったこと アイキャッチ

ガラパゴス諸島に旅行した時、出会えるイグアナの比率は

ウミイグアナ >>>>>>>>>>>>>>>> リクイグアナ

でございます。


ウミイグアナは本当に「どこにでもいる」存在で、街中でも沢山見られるガラパゴスで最も身近な動物のひとつ。

単純に生息数で見てもウミイグアナの方が圧倒的に多いです。

しかし、ダーウィン研究所で植物部門のガラパゴス・ベルデ2050(GV2050)に所属していると、フィールドワークで出向くエリアの都合上、最も身近な存在はリクイグアナ。

活動中はむしろ、ウミイグアナに出会うことがほとんどありません。

リクイグアナ

《ガラパゴス・ベルデ2050って?という方は、こちらの記事をご覧ください》

保全活動に興味がある人に考えてほしい、「植林」という言葉

一般の方は立ち入れないエリアで、リクイグアナたちがご近所さんのような感覚で仕事できるのはとても貴重で幸せなこと!

しかしフィールドワークの際、ひとつだけとても困ってしまったことがありました…。

無人島でフィールドワークすると…

フィールドワークは研究所活動の醍醐味で、フィールドワーク出張を命じられると小躍りして喜んだものです。

しかし、

「今日は一日無人島で活動!」

となると、どうしても避けられないのが…「お花摘み」場所

これは無人島に限らず、日本でもレジャー等で建物のない自然豊かな場所に行くと直面する事象です。

そのため、「自分も野外でお花摘みしたことあるよ」という方は結構いらっしゃいますよね。

私自身経験済みでしたから、ガラパゴスに来て初めて無人島フィールドワークを命じられた際も

「無人島ということは…野外お花摘みだな」

と特別戸惑うことなく受け入れることができました。

ですが、予想だにしなかったガラパゴスならではの問題点に直面することになったのです。

まさかの競合相手


皆様がもし野外でお花摘みを決行することになったとしたら、どこを実行場所としますか?

特に女性の場合、人目のつきにくい茂みの中ではないでしょうか。

というわけで、ガラパゴスの無人島フィールドワークでもそういった良い感じの茂みを探すことになります。

しかし、「ここは見つかりにくい良い場所だ!」とレーダーが反応するのって、人間だけではないのですよね。

身を隠す場所を見定めるのは動物の本能。

そういった場所には大抵リクイグアナの巣があるんです。

リクイグアナは地面に洞穴のようなものを掘って、夜はそこで眠ります。

リクイグアナの生息するエリアでは、よーく探すとそういった洞穴が空いていますよ。

よし、ここにしよう!と見定めた場所がリクイグアナの洞穴だった場合、そこでお花摘みますか?

めちゃくちゃ失礼ですよね他人の寝室で実行するのって。

私たちは大抵これでお花摘み難民となります。

見定めた場所見定めた場所で、もうリクイグアナに先越されているんです。

茂みの中のリクイグアナ

人間も動物。生き物の本能って皆同じなんだなあ…としみじみと感じる時間となります。

ついに実行可能場所発見!しかし…

いくつか当たってついにお花摘みできる場所を発見!

辺りを見渡して、人がいないことも改めて確認できたら決行でございます。

すると。
私が茂みに入った物音を聞いて、何か来たと思ったのか一匹のリクイグアナがやってきてしまいました。

あ、すみません…と思っていると、

更にもう一匹リクイグアナが現れました。

え、嘘でしょと戸惑っていると、

気付いたら四方八方をリクイグアナに囲まれていました。

というわけで、わらわらと現れたリクイグアナギャラリーの皆様に見守られながら、視聴率100%のお花摘み。

皆様大変暖かい視線を注いでくださいます。

こんな口角の上がった笑顔で見守っていただいた。

↑こんな口角の上がったいい笑顔で見守っていただいた。

恐竜のような見た目のリクイグアナですが、とても大人しい草食性なので、お花摘みの最中に襲ってくるということはありませんが…

いくらリクイグアナでも、やっぱりお花摘みを他者に見られるのはものすごくやりづらいです。

お願いだからあっちを向いてください、と念じましたが、リクイグアナさんに伝わることはありませんでした。

一部始終を見守って頂いたばかりか、退散する際までじーっとお見送りをしてくださいました。

ものすごくシュールな体験でした。なんだか品評会みたいな。

事前に誰も教えてくださいませんでしたが(もちろんネットにも情報がありませんでした)、ガラパゴス諸島でフィールドワークをするとこういうことに恵まれる…かもしれません。

もし機会のある方は、心構えを持っておくといいですよ…。

~このブログの著者の本『バットフィッシュ 世界一のなぞカワくん』(さくら舎)好評発売中!~


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ABOUTこの記事をかいた人

ガラパゴスバットフィッシュ愛好家、NPO法人日本ガラパゴスの会スタッフ。著書『バットフィッシュ 世界一のなぞカワくん― ガラパゴスの秘魚』(さくら舎) 。 たまたま本で見たガラパゴスバットフィッシュに大恋愛し、大学在学中に2度ガラパゴス諸島に渡航、バットフィッシュを観察。 卒業後は、ガラパゴス諸島のチャールズ・ダーウィン研究所のボランティアスタッフとして活動。およそ1年半をガラパゴス諸島及びエクアドル本土で生活した。現在、ガラパゴスバットフィッシュやガラパゴス諸島に関する寄稿、トーク、講演、メディア出演等を行っている。