ミンドの可愛い住民~鳥の好奇心はあなどれない~

ミンドの可愛い住民~鳥の好奇心はあなどれない~ アイキャッチ

ガラパゴス諸島以上にマイナーで、日本で売っているガイドブックには一文字も記載がない場所…それがミンド。
南米エクアドルの首都キトからバスで2時間という好立地ながら、豊かな雲霧林で世界屈指のバードウォッチングの名所であるミンド。
悲しいことに日本では全く知られていませんが(というかそもそもエクアドルの観光情報自体が非常に少ない)、欧米諸国からは通年を通してバーダーが来訪します。

ミンドに関しては、以前こちらの記事で言及しておりますのでご覧ください♪

まさかこんな場所で!?タチヨタカ遭遇記


そんなミンド、色鮮やかで個性豊かな野鳥たちも最高!ですが。
滞在中、そうではないある鳥が私の中でご近所アイドルとなっていました。

彼らから、鳥の好奇心の豊かさや頭の良さをすごく実感することができましたよ。

村ではおなじみの住民?

ミンドは小さな集落で、「町」というよりも「村」という言い方がしっくりくる穏やかな場所です。
ここで日常を送っていると、買い物などで出掛けた際よくすれ違うお馴染みの住民がこちら。

アフラックの営業担当たち…ではない。

アフラックの営業担当たち。

ではなく、ガチョウ2名様。
いつも村内を2羽一緒に散歩している方々です。
ミンドにはガチョウは生息していませんから、どこかのご家庭で飼われている方々なのでしょうが、

あまりにも自由に歩き回っているのでどこのお宅の子だかわからない。

しかし近所に迷惑をかけることもない善良な方々なので、住民は彼らを見かけてもそのまま自由にさせています。
私も見かけると自然に挨拶してしまうくらい、村に馴染んだ方々。

いつも仲よく2羽で行動するガチョウペアはとても可愛くて、私は勝手にアイドル扱いしていました。

散歩するガチョウペア

彼らにはどうしても入ってみたい場所があった…

そんなガチョウペアは分別がある方々で、いつも公道は利用するものの私有地には侵入しているところを見たことがありません。
その様子に常々「入ってはいけないゾーンを理解しているんだな、頭がいいな」と感心しておりました。

でも、好奇心は誰にでもあるんですよね。

通りがけによく立ち止まってじーっと中を眺めている場所がありました。

入ってみたげなガチョウたち

「おいでやす」とばかりに扉が開かれた蝶園…。

ここにはミンドに生息しているモルフォ蝶を含めた美しい蝶たちが温室に放たれている、観光客に人気のスポット。
東京の多摩動物園をご存知の方、イメージとしてはあの「蝶の大温室」の小型版という感じです。

観光客向けに扉が開かれていて、人々がわくわくした顔で入場していくんですもの。
ガチョウさんたちは気になってしまったわけですね。

しかしそこは分別のある彼ら。
いつもはじーっと眺めたあと再び歩き出して去ってゆくのですが、
私はある日ついに彼らの好奇心が勝ってしまった現場を目撃しました。

上の写真で彼らがじーっと眺めているのは入口
扉を抜けてすぐ正面は受付で、係員が着席しています。
つまり、ここから入ったらすぐに見つかってしまう!
彼らはそこまできちんと理解した上で入口前から立ち去り、別の場所から行動に出たのです!


蝶園に侵入を決行!

出口から討ち入り!

侵入を決意してからの彼らの足は、いつもの倍は速かった…。

この瞬間を目撃した私、心の中で
「うおぉぉぉぉやったぞおぉぉぉぉぉ!」
と大歓声を上げたのですが。

5秒後には係員に追い出されて撃沈していました。

残念…でも、中がどうなっているか見てみたかったんだよね。
なんとなく全貌は見えたかな?

それから彼らが蝶園にリベンジしている様子を見ることはありませんでした。
「ここは入っちゃダメだ」ときちんと理解したようですね。

「鳥頭」なんて言葉、一体誰が作ったのでしょう?
彼らを見ていると、そんなの嘘だと強く感じます。
私たちが知らないだけで、生き物たちは私たちが想像するよりずっと知能が高いのかもしれませんね。

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ABOUTこの記事をかいた人

ガラパゴスバットフィッシュ愛好家、NPO法人日本ガラパゴスの会スタッフ。著書『バットフィッシュ 世界一のなぞカワくん― ガラパゴスの秘魚』(さくら舎) 。 たまたま本で見たガラパゴスバットフィッシュに大恋愛し、大学在学中に2度ガラパゴス諸島に渡航、バットフィッシュを観察。 卒業後は、ガラパゴス諸島のチャールズ・ダーウィン研究所のボランティアスタッフとして活動。およそ1年半をガラパゴス諸島及びエクアドル本土で生活した。現在、ガラパゴスバットフィッシュやガラパゴス諸島に関する寄稿、トーク、講演、メディア出演等を行っている。