ガラパゴス諸島到着翌日、私は闇をさまよった。

ガラパゴス諸島到着翌日、私は闇をさまよった。アイキャッチ

ガラパゴスバットフィッシュに一目惚れし、会いたいという夢を抱いてから数年後、ついに夢のガラパゴス諸島に初渡航を果たしました。

《バットフィッシュへの大恋愛の経緯はこちらをご参照ください》

きっかけ

初めてガラパゴス諸島の地を踏んだ時の胸の高鳴りを今でも鮮明に覚えています。
ウキウキしながらひとたび空港の外に出れば…

「あっ!フィンチが飛んでる!」
「あぁっ!!立派な野性のサボテン!!」
「アアアアアア!!!この美しい海の中にィィィィィあなたがァァァァァァァ!!!」

見るもの全てに大感動でございます。
これ以上ないというほど浮き足立ち、今私はなんて幸せなんだろうと目の前がキラキラしていました。

しかし、幸福な時間とはそう長くは続かないものなのです…。

グッドタイミングな話が舞い込んだ

到着後、宿のある中心地までは車で45分かかるので、周りの観光客同様タクシーを利用することにしました。
私が乗ったタクシーの運転手のおじさんはとても親切で、私が初めてガラパゴス諸島に来たというと沢山島の話をしてくださいました。
ここは料理がおいしいからこんなに見事な体型になってしまった、衝突安全ボディとは僕のことだよ!と冗談も交えて和ませてくださいます。

「僕は、ここサンタ・クルス島のハイランドの観光スポットを案内する個人ツアーも承ってるんだ。もしよかったらいつでも頼んでね。」

そう言われて気づきました。
ガラパゴスに到着したはいいものの、滞在中の予定がまだ何にも決まっていないということを。
この渡航はパッケージツアーではなく個人旅行。
事前に予約しておいたのは宿泊する宿だけで、ガラパゴス諸島内でのダイビングやツアーの申込みは現地に着いてからにしようと考えていたのでした。

つまりこの時点で明日の予定はまっさら。
せっかくなのでこの機会は生かしたいと、運転手さんに「明日はお願いできますか?」と申し出て、宿に着くまでの時間でばっちり予約を完了したのでした。

ふふふ…素晴らしい時間の有効活用♪
これで明日もファンタスティックな一日を送れるわ♪

到着翌日、サンタ・クルス島ハイランドへ!

約束の朝8時ぴったりに、昨日の運転手さんが宿にピックアップにいらっしゃいました。
宿のおかみさんとも友人のようで、彼女は
「彼の案内なら安心して楽しく観光できるわよ」
と言って私を送り出してくださいました。
良い一日の幕開けでございます♪

観光ポイントがあるというハイランドへ、中心地から車を走らせること約20分。
まずは野生のガラパゴスゾウガメが沢山集まるというエル・チャト(El Chato)へ!

エル・チャトのゾウガメたち

エル・チャトに入るには入場料がかかりますが、時間無制限で好きなだけ野生のゾウガメたちを柵無しで観察できる最高の場所!
多くのガラパゴスゾウガメのご尊顔を拝ませて頂きました。
ここはカメ好きにはたまらなすぎる場所です!

《エル・チャトへの詳しいアクセスや入場料などの詳細はこちらの記事をどうぞ!》

ZIP!のガラパゴス生中継で桝アナウンサーの訪れた場所に行くには?

エル・チャトを思う存分楽しむと、運転手兼ガイドのおじさんが
「この近くに溶岩トンネルがあるから次はそこへ案内するね」
と笑顔で言いました。

トンネル?溶岩の?いまいちどんなものかイメージができませんでしたが、とってもガラパゴスな匂いがします!

そして溶岩トンネル(Túneles de Lava)に到着!

ここだよと言われ車を降りると、目の前にあったのは…

溶岩トンネル入口

おおお、なんだこれ!!

この溶岩トンネルは中を歩けるということなので、いざ参ろうと記念撮影。

溶岩トンネル入り口 記念撮影

このトンネルは人の手で掘られたものではなく、溶岩が流れてできた天然のトンネルだといいます。
さすが海底火山の噴火でできたガラパゴス諸島!
サンタ・クルス島にはこのような溶岩トンネルがいくつもあるんですって。

それでは階段を下ってトンネルの中へと侵入してみましょう。

溶岩トンネルの中で記念撮影

うわぁ、すごい!
いつかの紅白歌合戦で、中島みゆきさんが黒部ダムのトンネルから歌っていた時の景色みたいだ!

まるで紅白の聖地巡礼しているかのような気分になり、運転手兼ガイドのおじさんの先導で私はルンルン歩き出しました。
本当に人の手によって作られたかのような見事なトンネルです。

そしてひんやりと涼しくて気持ちが良い!
勝手に、入口から出口が見えるようなちょっとしたものかと想像していたのですが、結構長いトンネルです。
まるで洞窟探検しているみたいで楽しいです。

しばらく進んだ頃でしょうか。
おじさんが、
「ここはちょっと大変かもしれないから、後ろからサポートできるようにしておくよ。気をつけて通って。」
と言うではないですか。

近付いて見てみると、そこは天井部分がすごく低くなっていて、ほふく前進しないと通れなさそうなほどでした。
こういうところが「天然トンネル」であることをリアルに実感させてくれます。面白い。

覗きこんでみると、通り抜けた先はすぐ元の天井の高さに戻っています。
つまりこの部分のイメージは、商店の9割閉まった状態のシャッターといった感じでしょうか。
この一瞬の壁さえ屈んでくぐればあとはもう大丈夫なようでした。

よいしょよいしょとくぐり抜け、ジーンズの土が着いた部分をパンパンと掃っていると、後ろからおじさんが「アキコ、アキコ」と呼ぶ声がしたので振り返りました。
しかしそこに彼の姿はなく、声は壁の向こうから聞こえます。



「僕は体の厚みの問題でここをくぐれない。というわけで僕は引き返して地上に出て、出口まで先回りして君を待ってるね。じゃあね!トンネル、エンジョイ!」

 

…\(^o^)/

そんなこと聞いてない聞いてない!
一瞬茫然とした後、ちょっと待ってと壁の向こうへ声を掛けましたが、もう行ってしまったようで返事がありません。

ここからこのトンネルを一人で歩くのか!?
出口まであとどのくらい掛かるのかさえ聞いておりません。
完全な一本道なのか、それとも途中でトラップ的に分かれ道があるのかだって知らないのです。

そして今までハイテンションだったため気付きませんでしたが、冷静になって見渡すとこのトンネルは電気もまばらでかなり暗いではありませんか。
足元に障害物なんかがあって怪我したらわたくしジ・エンドでございますぞ。

暗闇のトンネル内部

しかし出口で待ってると言われてしまったため、もう歩き続けるしかありません。
誰もいない暗いトンネルの中を、足元に注意しながら歩き出します。

―――これ、出口まであと1時間やそれ以上かかったらどうしよう。

急に恐怖がこみ上げてきてしまい、気を紛らわせるために小声で歌いながら歩くことにしました。
かつての幼少期の遠足時のようにトトロの「さんぽ」でも歌えば楽しいはず!と思っているのに、実際に唇から放たれたのは

「風の中のすばる…砂の中の銀河…」

完全に序盤の紅白歌合戦のイメージがこびりついております。プロジェクトX。

それでも歌っているとだいぶ気が和らぎました。
そのうちに地上の星を歌い終わり、続いて自動的にプロジェクトXのエンディングテーマが再生されます。

「ヘッドラーイト…テールラーイト…旅はーまだ終わらーないー…」

といい感じにサビを歌っていたところで顔を上げると、そこには人間の姿が。
あまりの驚きにイヒィ!と声が出てしまいました。

向かいから歩いてきたその人たちは私と同じ外国人観光客のグループのようで、何やら私に話しかけてきます。
おそらくフランス語あたりだと思うのですが、言葉がわからないので彼らの表情や手振りで察するに

「あなたこんなところを一人きりで歩いているの!?クレイジーだ!」

ということでした。

私だって自分で望んでこんなクレイジーなことしているんじゃないんですよ…。

だなんて言葉がわからないので伝えることもできず、ただただ「Year、OK!」と微笑んで繰り返すだけの私。
その様子に「マジかこいつ。あんま触れちゃいけないやべーやつだ。」と思われようで、彼らは私から去っていきました。

というわけで再び一人で暗闇を彷徨います。
さきほどの人たちに歌声を聞かれるのが恥ずかしいのでもう歌えなくなってしまいました。
仕方なく脳内バックグラウンド再生で今度は「空と君のあいだに」を流していると、ついに光が差しました。

溶岩トンネルの出口

で、出口ぃ…!!

すがる思いで出口の階段を登ると、私の到着を待っていたおじさんが

「どうだい?楽しかったろう!」

と満面の笑みで声を掛けてきました。
楽しくないですよ!どれだけ不安でいっぱいだったと思ってるんですか!

あとで聞いた話だとこのトンネルは全長2kmほどだったようです。
私が一人で歩きだしてから出口までは約15分かかりました。
恐れていた1時間以上のような悲劇にならなくてよかったです。途中分かれ道もなかったですし。

しかし精神的には堪えたようで、その後お昼に宿に帰り着いてからはどっと疲れてしまい、2時間ほど眠ってしまいました。
何も分からない異国の地で、突然ひとりで暗闇を彷徨うことになるのはキツいです…それも到着翌日に…。

初のガラパゴス旅行2日目はハードなものとなりました。
この時はまだ、まさかその2年後この島に住むことになるとは予想もしていなかったのでした…。


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ABOUTこの記事をかいた人

ガラパゴスバットフィッシュ愛好家、NPO法人日本ガラパゴスの会スタッフ。たまたま本で見たガラパゴスバットフィッシュに大恋愛し、大学在学中に2度ガラパゴス諸島に渡航、バットフィッシュを観察。 卒業後は、ガラパゴス諸島のチャールズ・ダーウィン研究所のボランティアスタッフとして活動。およそ1年半をガラパゴス諸島及びエクアドル本土で生活した。現在、ガラパゴスバットフィッシュやガラパゴス諸島に関する寄稿、トーク、講演を行っている。