「となりのトトロ」のメイちゃんの気持ちが今なら分かる

「となりのトトロ」のメイちゃんの気持ちが今ならわかる アイキャッチ

ガラパゴス諸島のチャールズ・ダーウィン研究所に所属するためのビザ手続きを待つ間、エクアドル本土で待機を命じられた私は、ミンドという野鳥楽園の村におりました。
案の定手続きはトラブルなどで長引きまくり、ずるずるとここに数か月住む結果になり、ミンドの村の人々ともすっかり顔なじみになってしまった頃。

「アキコ、ミンドにずっといるのにまだアンデスイワドリ見に行ってないの?」

と度々つっこまれるようになってきてしまったのです。

アンデスイワドリとは

アンデスイワドリは、南米アンデス山脈に分布する体長30cmほどの鳥です(ペルーの国鳥)。
雌雄で体色が異なる種なのですが、オスの間でもアンデス山脈を挟んで東西でも色が異なります。

東側のオスはオレンジ色、西側のオスは真っ赤なのが特徴です。
ミンドはアンデス西部の雲霧林地帯で、この鳥が見られることでも有名な場所。

アンデスイワドリ(アンデス西部)の雌雄

アンデスイワドリ(アンデス西部版)の雌雄

「こんなに長いことミンドにいるのにまだアンデスイワドリを見たことがないって信じられない!」
「ミンドに来る人は普通みんなアンデスイワドリを見に行くよ?」

「アンデスイワドリツアー毎日開催されてるじゃん、アキコも行ってきなよ~」

と沢山の方にお言葉を頂いたのですが、私はうーんと言葉を濁していました。

なぜなら。

①アンデスイワドリを見に行くには朝5時半に出発しなければならない

ミンドでアンデスイワドリが見られる定番スポットは、Cascada Nambilloという、山道を登った先にある滝。
彼らが大勢集まり求愛で鳴く様子が見られるのは早朝のみということで、5時半には出発しなければならないのです。
ミンドは標高の高め(1200m)の雲霧林で、朝は冷えるんですよ。

寒い中めちゃくちゃ早起きして見に行くのは正直面倒くさいな、というのが本音でした。

②アンデスイワドリツアーは一回50ドル以上かかる

アンデスイワドリがみられるCascada Nambilloまでは村の中心から徒歩2時間。
もし自力でアンデスイワドリを見に行くとなると、3時半には出発しなければならない計算。
というわけで、アンデスイワドリを見るには車で連れて行ってもらえるアンデスイワドリツアーに参加するのが一般的。

アンデスイワドリツアーは村で様々なショップが提供していますが、安いところでも50ドルはかかります。
これを安いととらえるか高いととらえるか。
アンデスイワドリが見たい!という方にとっては、車で連れていってもらえてしかも専属バードガイド同行!という内容は決して損ではないと思います。参加した方は皆さん大満足して帰ってきますよ♪

ただ、私個人は当時
「その価格でアンデスイワドリ見に行くなら、同じ価格で私が見たい別の野鳥のツアーに行きたいかな。」
という考えでした。

以上の理由から、結局アンデスイワドリツアーに誘われても断り続けていました。
「早朝の5時半からCascada Nambilloに行く以外では見られないのに…もったいないよ。」
というお言葉はもう何十回耳にしただろう…というある日のことです。

1人でルンルンお散歩していた時

私は長期滞在をいいことにミンドの様々な場所に散歩に赴いていました。
バードウォッチングツアーに参加しなくても、ミンドでは歩いているだけでオオハシやチュウハシをはじめ様々な野鳥に出会えるので最高に楽しいのです!

今日はここに行ってみよう、と敷地内に広いハイキングトレイルを持つCasa Amarillaというホステルに散歩に行ったときのこと。
その時既に昼の12時過ぎで、早朝~10時頃がベストとされるバードウォッチングタイムを逃していたため、トレイルを歩いている間あまり野鳥を見ることはできませんでした。

「次回は午前中に来ようかな、今日はウォーキングだと思って景色や空気を楽しもう。」
と考え、まあひとまず水でも飲むかと立ち止まっていると

突然バサバサバサバサと大きな音が聞こえ、私の頭をはたいてゆきました。

何が起こったのかわからずフリーズしてしまいましたが、目線を上げてみるとそこには

私を見下ろすアンデスイワドリ

私を見下ろすアンデスイワドリ殿下。

へ!?あなた早朝の5時半に滝に行かないとお目にかかれないんじゃなかったの!?
今もうお昼の12時半ですよ、しかも全然場所違いますよ!

ていうか何で通りこしざまに私の頭をはたいたの!

突然目の前に現れたアンデスイワドリに意味がわからず、しばらくお互い見つめ合っていると、アンデスイワドリ殿下は森の奥へと飛んでいきました。

なんだったんだ、今の。

「ほんとだもん!本当にトトロいたんだもん!」状態

それ以降、いつも通り「アンデスイワドリまだ見に行ってないの?」と声を掛けてくる方々に
「ふふふ…実は会っちゃったんだよね、昼の12時半にCasa Amarillaで。」
と話すと、
「そんなのありえない。夢だ。」
という否定ばかりが帰ってきてしまい、まるで私はトトロの存在を大人に訴えるメイちゃんのようになってしまいました。

絶対に私はアンデスイワドリに会った。本当にいたんだもん!

「これがその時撮った写真!」
と見せると大抵の人はすごく驚きましたが、中には
「またまた~。こっそり滝にアンデスイワドリを見に行って撮ってきたんでしょ~?」
と、尚もメイちゃん扱いする方も。

それほど、まずありえない出来事だったらしい。

嗚呼、メイちゃん…もし次あなたがトトロの存在を訴える機会があったなら、私はあなたを信じるよ。
きっとそれは本当だったに違いない。
信じてもらえないって、こんな気持ちになるんだね…。

しかもですよ。
警戒心が強いことで知られ、観察中は私語厳禁!といわれるアンデスイワドリ。

それがわざわざあちらから私の方に飛んできて、頭をはたいて去っていったなんてことまで話したら、いよいよメイちゃんを通り越して妄想過多な大法螺吹きだと言われかねないので、私は黙っていました。

でも、ほんとだもん!本当にはたかれたんだもん!


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ABOUTこの記事をかいた人

ガラパゴスバットフィッシュ愛好家、NPO法人日本ガラパゴスの会スタッフ。たまたま本で見たガラパゴスバットフィッシュに大恋愛し、大学在学中に2度ガラパゴス諸島に渡航、バットフィッシュを観察。 卒業後は、ガラパゴス諸島のチャールズ・ダーウィン研究所のボランティアスタッフとして活動。およそ1年半をガラパゴス諸島及びエクアドル本土で生活した。現在、ガラパゴスバットフィッシュやガラパゴス諸島に関する寄稿、トーク、講演を行っている。