RRRが大変面白くてアナンタさんに感謝した話

RRRが大変面白くてアナンタさんに感謝した話 アイキャッチ

RRRの沼に落ちてしまった

先月、念願の「RRR」をついに映画館で鑑賞してきました。
「ついに」というのは、ずっと気になってはいたものの「3時間もあるしなぁ」「インド映画ってひたすら歌って踊るのかな」という懸念があって、なかなか踏ん切りがつかなかったのです。

【結論】俺は森に生まれ、無知だった。

私は一体何をくよくよしていたのか。
こんな清々しい最高の気分になれるなら、もっと早く観ればよかったものを…!
ずっとクライマックスのような展開。3時間もあったとは思えません。
観終わったあと、自分がものすごく強くたくましくなれたような気がしました。
そして、後日私は生まれて初めて映画館でおかわりしました。

「RRR」ポスター

2Rめはまだナートゥをご存知でなかった母を連れだっていったのですが、母もインド映画未経験で不安があった模様。
上映直前、「(内容が)ずっと同じ調子だったら、悪いけど離席して喫茶店に行ってるかもしれないけど気にしないで」と私に話しました。
そして3時間後。
「グッズ売り場に行こう!」
と目を輝かせる母の姿が隣にありました。

立川シネマシティ 「RRR」フォトスポット①

そう、「RRR」は途中飽きる暇もくれないほど壮大なストーリーがノンストップで展開されるのです。
劇中で歌って踊る場面は1回だけ(いわゆる「ナートゥ」のシーン)、それも不自然に突然始まるのではなく物語の流れ上自然に踊るので、ミュージカルが得意じゃないという方も大丈夫です。

トイレが不安な方、鑑賞3~4時間前からは食事は軽めに&コーヒーや紅茶といった利尿作用のある飲み物を避けるのがおすすめです。
尚、都内では立川シネマシティが本国インドでの上映と同じく前半と後半の間に20分間のインターバルが入るので大変良いですよ!
↓こんなナイスなフォトスポットもあります。

立川シネマシティ 「RRR」フォトスポット②
母は主演のお二人を「キレッキレの藤岡弘、と北村一輝」と言っていました。日本版RRRを制作するなら是非彼らをキャスティングしていただきたいですね(?)

「RRR」は物語もさることながら、劇中歌がどれもとても良いのですよ。
中でも私は「DOSTI(ドスティ)」が心に響きました。
インドの音楽は軽やかで明るいイメージだったので、このような荘厳なメロデイーにギャップ萌えです。
タイトルのドスティとは友情という意味なのだそうです。
日本語訳詞つきのMVが配給会社の公式からアップされているので貼っておきます。
壮大な歌詞が素敵!

ありがとう、アナンタさん

「RRR」を観終わって、真っ先に浮かんだ顔がアナンタさんでした。
アナンタさんとのドスティを走馬灯のように思い出し、アナンタさんに、そしてアナンタさんの国であるインドがこのような素晴らしい映画を生み出してくださったことに心からお礼を申し上げたくなったのです。

それは、2014年のガラパゴス諸島だった

私が2度目のガラパゴス渡航をした2014年の夏。
前年に引き続き愛しのガラパゴスバットフィッシュを探すためにダイビングツアーに参加しました。

《↓ガラパゴス諸島でのダイビング方法やツアー当日の流れなどはこちらの記事をどうぞ》

ダイビングセンターに集合し、参加者全員が一人ずつ軽い自己紹介をし、それでは早速ボートに乗り込みましょう…となった時。
「日本の方ですか?」
という声がし、後ろを振り返ると一人の外国人男性がいらっしゃいました。
「私はインドから来たアナンタです。以前日本で翻訳の仕事をしていました」

ガラパゴスでダイビングツアーに参加すると、99%の確率で周りは全員外国人なので日本語を耳にする機会はありません。
それが、まさかの外国の方が流暢な日本語で話しかけてくださるなんて!

「ガラパゴスでダイビングするのは私の夢でした!まさかここで日本の方に会えるとは、嬉しいです」
そうニコニコするアナンタさん。
ガラパゴスで日本語を話せることがお互い嬉しくて、ボートではアナンタさんと隣り合って座りました。

「アナンタとは日本語で無限大という意味です」
ボートが動き出した後も、アナンタさんは色々な話を私にしてくださいました。
とっても楽しかったのですが、10分もするとだんだん私は苦しくなってきました。

というのも、このボートはフロレアーナ島行き。
サンタ・クルス島からフロレアーナ島へのボートは激しく揺れ、いや、もはや跳ねるのです。
2秒くらいお尻が浮いて叩きつけられたりします。
これが1時間ほど続くので、動き出したあとの船内は全員目を閉じて静かにひたすらに耐えています。
しかしアナンタさんは、この非常に過酷な状況の中、首を横に向けて隣の私にノンストップトークし続けています。
素晴らしい生命力。これがインドの底力…!

私も最初は首をアナンタさんの方に向けていたのですが、だんだんとうつろな目で前を向くので精一杯になっていました。
すごいなアナンタさん、きつくないのかな…。

すごすぎるよアナンタさん

そのまま30分ほど経過した頃、ウキウキで話していたアナンタさんが
「あ、ちょっとすみません」
と言いながら体勢を変えました。
お手洗いにでも行くのかしらと思った瞬間、アナンタさんは海に向かって盛大に吐いていらっしゃしました。
苦しかったんかーい!限界ギリギリまで我慢して私に接待トークしていてくださったんかーい!

慌ててアナンタさんの背中をさすると、苦しそうにしながら
「…やばいです…」
と一言つぶやかれました。
こんな状況でもとっさに日本語が出るの、すごすぎますよアナンタさん。

その後スタッフに酔い止めを支給され、静かに目を閉じたアナンタさん。
あぁ、なんだか私がいたばかりにこんなことになって申し訳ないな…と思いながら、私も残りの時間を眠って過ごしました。

ダイビングポイントに到着後、ご体調を伺うと
「大丈夫です。潜ります。バットフィッシュを私も見たいです」
と気丈にふるまうアナンタさん。
私がガラパゴスバットフィッシュ好きで、今日もそれを目当てに来たという話をしっかりと聞いていてくださったのです。

この日アナンタさんとともにガラパゴスバットフィッシュを囲んだ思い出は、なんだかとってもドスティです。

アナンタさんと眺めたガラパゴスバットフィッシュ実物

そして私はまたRRRを観に行く

ああ、アナンタさん。ありがとう、アナンタさん。
あれからお元気にされていらっしゃいますか?
またガラパゴスで、一緒にガラパゴスバットフィッシュを囲みたいです。
あの頃の私はまだインド映画を知らなかったけれど、今ならあなたの国が生み出した映画がどんなに素晴らしいか、ボートの中でずっと語っていられそうです。

私はすっかりインド映画に興味がわき、早速「RRR」のラージャマウリ監督の他作品を鑑賞する予定を立てたのでした。
これからもっとインド映画の沼にひたっていきたいです。
もちろん、さらなる「RRR」のおかわりもくり返しながら…。

~このブログの著者の本『バットフィッシュ 世界一のなぞカワくん』(さくら舎)好評発売中!~

 

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ABOUTこの記事をかいた人

ガラパゴスバットフィッシュ愛好家、NPO法人日本ガラパゴスの会スタッフ。著書『バットフィッシュ 世界一のなぞカワくん― ガラパゴスの秘魚』(さくら舎) 。 たまたま本で見たガラパゴスバットフィッシュに大恋愛し、大学在学中に2度ガラパゴス諸島に渡航、バットフィッシュを観察。 卒業後は、ガラパゴス諸島のチャールズ・ダーウィン研究所のボランティアスタッフとして活動。およそ1年半をガラパゴス諸島及びエクアドル本土で生活した。現在、ガラパゴスバットフィッシュやガラパゴス諸島に関する寄稿、トーク、講演、メディア出演等を行っている。