【あれ?あの人…】心臓が止まりかけた初残業の夜【ずっとここにいない?】

【あれ?あの人…】心臓が止まりかけた初残業の夜【ずっとここにいない?】 アイキャッチ

思い出すのも恐ろしいあの夜。
それは、私がチャールズ・ダーウィン研究所で働きはじめて間もない頃のことでした…。 

私が所属したのは在来・固有植物の生態系の保全研究を行うプロジェクト・ガラパゴス・ベルデ2050(GV2050)
このプロジェクトのオフィスは2部屋あるのですが、私は外に面した眺めの良い部屋の窓際が定位置になっていました。

《GV2050についてはこちらの記事をどうぞ⇩》

保全活動に興味がある人に考えてほしい、「植林」という言葉

《バリバリ緊張初勤務についてはこちらをご覧ください⇩》

チャールズ・ダーウィン研究所、勤務初日はどんな一日?

窓辺の席からはにぎやかな光景が見える

その日は細かい作業やパソコン作業が多い1日でした。
そのため、窓の外を時折眺めて目の疲れをリセットするようにしていて。
この窓からは外のベンチコーナーが見えるのです。
観光客の皆様が入れ代わり立ち代わりここに座って写真を撮ったり談笑したりととても楽しそうでした。

ベンチスペース

終業は17時でしたが、この日は仕事が追い付かずちょっと定時で上がれそうにありません。
自発的にひとり残り、黙々と残業することにしました。

ほぼ真っ暗、ひとりぼっちの研究所

時刻はもう18時半を回っていたでしょうか。
ダーウィン研究所の敷地内は外灯が少なく、この時間まで残るとほぼ真っ暗になってしまいました。
この時間には他の部門のスタッフもほぼ全員帰宅しており、研究所内には私ひとりといっても過言ではありませんでした。

そろそろ帰るか、とパソコンをシャットダウンしながら窓の外に目を向けると、例のベンチコーナーにまだ人が座っています。

あれ?あの人お昼からいるような…

私は思わずその人を凝視します。
あの人、日中からずっとあそこに座っていないか?
ダーウィン研究所は観光客も入場できますが、オープン時間は18時まで。
こんな時間までなぜ残っているのでしょうか。

不思議に思いながら荷物をまとめてオフィスを出ます。
ベンチスペースに近づくとその人はやっぱりまだ座っていらっしゃる。

辺りを見渡しても他にお仲間のような人は誰もいません。
そして同時に、スタッフも私しかいない。
スルーして帰宅することは許されない状況です。
だってもしかしたら、ご体調が悪いのかもしれません。

恐る恐る声を掛けると…

いきなり謎のモンゴロイドから声を掛けられたら気持ち悪いかな?
ていうか私ただのボランティアスタッフだけどこんな出しゃばったマネしていいの?
こういう時の声掛けのトーンって朗々としたソプラノがベスト?それともナイトタイムに馴染む落ち着いたアルト?ヤフー知恵袋で聞いてみようかな?

などとこの期に及んで驚異の人見知り力を発揮する私。

ええい、とにかく動くのじゃ、と意を決してその人のもとへ行きこの国の公用語であるスペイン語で声を掛けます。

「Señor, está bien? (大丈夫ですか?)」

…返事はありません。
あっ、そうか、英語圏の方なのかもしれない。
ということで英語でもう一度。

「Are you OK?」


………

…ほんとに返事がないぞ。

まずい。目の前で人が座ったまま意識を失っている。
き、救急車…ガラパゴスだと番号何番だっけ…?
慌てて取り乱す私。
とにかく呼吸があるか確認しないと!と肩に手を触れると
ゴンッと鈍い音がしました。

…つ、冷たくて…硬い……!?

この人の正体は…!

あなた、あなたまさか。
ど、銅像…!?

少し離れて改めて彼を眺めます。
その服装、風貌を観察してやっと理解した私は思わず声に出してその人の名を呼びます。

「若き日の…チャールズ・ダーウィン…!」

チャールズ・ダーウィン像

数ヶ月前ボランティア契約のためにここに来た時は、確かにこの銅像はありませんでした。
それがなんですか急にこんな等身大銅像座らせて。
上に屋根があるお陰で、銅像の色が自然な暗さに見えてすごくリアルに人風味を醸しているんですよ。
紛らわしいことこの上ない。

銅像に2か国語で話しかけた上、本気で救急車を呼ぼうとした恥ずかしさからか、私は心の中で猛烈に逆ギレを始めます。

そして空しく一人帰宅したわけですが、翌朝出勤時に再びこのダーウィン像の前を通る時に本当に気恥ずかしくって。

やや遠くからダーウィンを眺める

一緒に出勤した同僚が何かを察したのか「なんかあったの?」と聞いてきましたが、恥ずかしすぎて正直に話せるわけがなく。
「ちょっと昨日の夜ね…色々あって…」と言いながらダーウィン像に目配せしてしまい、意味深度に拍車をかけてしまいました。

あぁ恥ずかしかった。
これからは何事もまず、相手が人間か金属かをよく見極めてから声を掛けようと思ったのでした。


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ABOUTこの記事をかいた人

ガラパゴスバットフィッシュ愛好家、NPO法人日本ガラパゴスの会スタッフ。たまたま本で見たガラパゴスバットフィッシュに大恋愛し、大学在学中に2度ガラパゴス諸島に渡航、バットフィッシュを観察。 卒業後は、ガラパゴス諸島のチャールズ・ダーウィン研究所のボランティアスタッフとして活動。およそ1年半をガラパゴス諸島及びエクアドル本土で生活した。現在、ガラパゴスバットフィッシュやガラパゴス諸島に関する寄稿、トーク、講演を行っている。