その発想はなかった!シラガゴイの日光浴

その発想はなかった!シラガゴイの日光浴

動物を観察していると、時折私たちの発想にないような意外な行動をとるので驚かされることがあります。
私自身「なるほどそういう発想があったか!」と彼らに沢山学ぶことがあり、いかに自分の頭は「こういう時はこうする」というひとつの観念に凝り固まっていたかを思い知るきっかけになります。

今回は、その中からシラガゴイ(ミノゴイ)の幼鳥が見せてくれたある日の日光浴のエピソードをご紹介。
あなたにはこんな発想ありましたか?

《シラガゴイってどんな鳥?という方はこちらの記事をどうぞ♪》

知名度はゼロ?実はおもしろ可愛い鳥

実にほのぼの。シラガゴイの幼鳥兄弟

大人のシラガゴイ(ミノゴイ)は単独行動をとりますが、巣立ってから大人になるまでの幼鳥のうちは、兄弟同士で行動を共にする様子をよく見かけます。

シラガゴイ(ミノゴイ)の幼鳥兄弟①

この幼鳥たちはサンタ・クルス島の魚市場横の桟橋のマングローブ林を拠点に暮らす兄弟。
見かける度にいつも一緒にいて、仲良しだなあとほのぼの癒されていました。

シラガゴイ(ミノゴイ)の幼鳥兄弟②

なんて仲睦ましいのでしょう…心が荒んだ時に見ると無意識に涙が溢れてくる写真です。

シラガゴイの日光浴の姿はちょっと独特

鳥の日光浴の体勢は種によってさまざま。
オーソドックスなのは、地面に座ったりうつ伏せに寝そべったりしながら羽をファサーと広げるパターンでしょうか。
しかしシラガゴイの日光浴は一味違います!

シラガゴイ(ミノゴイ)の日光浴!

太陽に向かって仁王立ち。

立ったまま太陽に向かって羽を広げるスタイルは鵜などもそうなのですが、特徴的なのは羽を逆三角形風に広げるところ!
このスタイルはなかなか無いかと…私の知る限り、シラガゴイとアオサギくらいだと思います。

兄弟仲よく仁王立ち日光浴。素晴らしいひとときですね。

さて、この写真を撮影し私はふと思いました。
日光浴は羽の両面を行うのではないか?
そう、このままでは太陽に向けている片面しか日光浴したことにならないのです。
ということは、待っていればそのうち裏側も日光に当てるはず。

私はしばし立ち止まって様子を観察することに致しました。

なん…だと…!?予想外の方法

皆様がシラガゴイだったら、この後羽の裏側をどのように日光に当てますか?
私含め、多くの人は「この体勢のままうしろを向く」のではないでしょうか。
そう予想して裏面の日光浴が始まるのをじーっと待っていると…ついにシラガゴイが動きました!

そしてこのような体勢になりました!


予想外の体勢…

…えっ…!

その発想はなかった。
後ろを向くのではなく、前に倒れ込んで羽の裏面に太陽をあてるスタイルなのですね。

でもこの姿勢ちょっとつらくない?と思ってしまいましたが、人間である私の凝り固まった考えをぶつけてはいけないのです。
これが彼らのスタイル。私にない発想を教えてくれたのです。

兄弟で日光浴のペースは異なる

ちなみに、後ろの子はまだ表面を日光浴中。
兄弟で日光浴のペースは異なるようでした。

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ABOUTこの記事をかいた人

ガラパゴスバットフィッシュ愛好家、NPO法人日本ガラパゴスの会スタッフ。著書『バットフィッシュ 世界一のなぞカワくん― ガラパゴスの秘魚』(さくら舎) 。 たまたま本で見たガラパゴスバットフィッシュに大恋愛し、大学在学中に2度ガラパゴス諸島に渡航、バットフィッシュを観察。 卒業後は、ガラパゴス諸島のチャールズ・ダーウィン研究所のボランティアスタッフとして活動。およそ1年半をガラパゴス諸島及びエクアドル本土で生活した。現在、ガラパゴスバットフィッシュやガラパゴス諸島に関する寄稿、トーク、講演、メディア出演等を行っている。