植え込みに思いもよらぬものがはまっていた

植え込みに思いもよらぬものがはまっていた

街中や道路脇にある植え込み。
花が咲くと季節を感じられるのはもちろん、蝶をはじめ昆虫との出会いがあったりと、癒しを与えてくれます。

時には「なぜあなたがここに?」とつっこみたくなる光景を目にすることもあります。
鳩や猫が植え込みにはまって休憩している様子を見たことがある方、私以外にもいらっしゃいますよね?
可愛らしくて思わずふふっと微笑んでしまいます。
きっと涼しくて気持ちいいのでしょうね。

わかりますよ。

鳩や猫なら、ね。

しかし、なぜこんなものが植え込みに…と思ってしまったこと、ありませんか?

それはサン・クリストバル島で見た光景

ガラパゴス諸島の州都、サン・クリストバル島。
1835年の9月15日、かのチャールズ・ダーウィンが測量船ビーグル号に乗ってガラパゴスに到着した、最初の島です!

現在は有人島で沢山の住民や観光客でにぎわうこの島。
中心地は道路もきれいに整備され、お店も多く立ち並んでいます。
ぶらりと散歩してみると、ベンチや植え込みもあり…

え…ちょっと…何あれ…?


植え込みにはまっている…

植え込みにアシカがはまっておられる。

微動だにしないので、
「え?巧妙な剥製?それとも地縛霊?」
と一人で脳内パニックに陥っていると

動いた。

あっ、動いた。

紛れもなく、生きた本物のアシカでした。
しかしなぜ植え込みにはまっているの?
なんらかの事故ではまって抜けなくなってしまったの?

のそのそ…

私があまりにも見つめるので、
「んだよ、うざいなー」
というかのように渋々のそのそし始めました。

よいしょ。

抜けました。

いや、抜けたというと語弊があります。
ここまでの一連のアシカの動きは非常にスムーズで窮屈さを一切感じさせず、はまりこんで抜けなくなっていた説は杞憂に過ぎなかったことが明白になります。

それでは尚更なぜ植え込みに鎮座していたの。

疑問でいっぱいな私を尻目に…

植え込みから出てきたアシカ

ついにアシカが植え込みから出てきました。
浜辺の砂ではなく、明らかに園芸用の土が付着しているアシカ。シュール。

「まったくもう。せっかくリラックスしてたのに。」

「まったくもう。せっかく植え込みでリラックスしてたのに」

少し迷惑そうな表情で私を見ます。
なんかすみませんペースを乱してしまって…。
そして彼は正面の海の方へと歩き始め、


船を眺めるアシカ

立ち止まり、大型船を鑑賞。

振り返るアシカ

「かっこいい船だったろ?」
とこちらを振り返りリアクションを求めるかのようなアシカ。

あ…はい…そうですね…。

ゴーイングマイウェイ、アシカ。

結局なぜアシカが植え込みにはまっていたかの理由はわかりませんでしたが、ガラパゴスで見てきた彼らの行動を思い返してみると感づいたんです。

きっとそこに理由なんてない。
ただ、はまってみたかったからはまりこんでみただけ。

彼らは非常に自由で、好奇心旺盛。
興味がわいたら色々やってみる方々。
些細な行動ひとつひとつに理由を求めるのなんて、野暮なのかもしれません。

私たちはついつい他人の行動に理由を求めてしまいがちです。
しかし、考えてみれば自分だっていちいち明確な理由に基づいた行動をとっているわけでもないのですよね。
いつもバニラアイスを選ぶ人がチョコレートアイスを手に取ったって、そんなの気分でしかなかったりします。

「こんなことやったらどうしたのって言われるかな、変かな」
と気にしすぎて行動できなかったあの日…。
なんだか色々思い出されてセンチメンタルに。

植え込みにはまったアシカの姿に、涙を誘われることになった私。
そんな私を不思議そうに見るアシカ。
…あれ、この現場で一番変なのって私かな?

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ABOUTこの記事をかいた人

ガラパゴスバットフィッシュ愛好家、NPO法人日本ガラパゴスの会スタッフ。著書『バットフィッシュ 世界一のなぞカワくん― ガラパゴスの秘魚』(さくら舎) 。 たまたま本で見たガラパゴスバットフィッシュに大恋愛し、大学在学中に2度ガラパゴス諸島に渡航、バットフィッシュを観察。 卒業後は、ガラパゴス諸島のチャールズ・ダーウィン研究所のボランティアスタッフとして活動。およそ1年半をガラパゴス諸島及びエクアドル本土で生活した。現在、ガラパゴスバットフィッシュやガラパゴス諸島に関する寄稿、トーク、講演、メディア出演等を行っている。