日本とガラパゴス、働く上での常識のギャップにものすごく戸惑った話

日本とガラパゴス、働く上での常識のギャップにものすごく戸惑った話 アイキャッチ

ビジネスマナーや社会常識という名の暗黙の了解…働くということは慣れるまで戸惑いの連続ですよね。
それが文化や常識の違う海外でだったら?
輪をかけてわからないことだらけで混乱しませんか?はい、私はすこぶる混乱致しました。

私はガラパゴス諸島のチャールズ・ダーウィン研究所でボランティアとして勤務していたのですが、最初は本当に勝手が分からず緊張していました。

《ドキドキの勤務初日についてはこちらの記事をご参照ください》

チャールズ・ダーウィン研究所、勤務初日はどんな一日?

まぁ、勤務初日はガラパゴス諸島に着いた当日ということもあり、顔合わせ程度で終わったのでございますよ。
問題のフル勤務本番は翌日以降。
フル勤務のしょっぱながまさかのフィールドワーク派遣でぶっとびましたが、それはまた別の機会にお話しすることにして、今回は「オフィスでの初フル勤務」に焦点を当てたいと思います。

海外で、それも南米で、それもそれもエクアドル本土やガラパゴス諸島で働く展望がある方はもしかしたら役に立つ…かも…!?

出社時間問題

日本においては暗黙の了解となっていることの代表例…新入りは一番最初に出社すること
ガラパゴス諸島においてのルールが分からない私は、ひとまずこれに倣っておけば失礼はないだろうと思い、オフィス勤務初日は始業時間の30分前にオフィスに到着しました。

が、オフィスに入れない。

私の所属していたプロジェクト・ガラパゴス・ベルデ2050(GV2050)のオフィスは、同じ植物部門の他のチームのオフィスと共に1つの棟の中にあるのですが、そもそもその棟の入口が施錠されていました。

ダーウィン研究所では、警備員が朝になると全ての棟の鍵を開ける等といった制度はありません。
ということで当時まだ鍵を渡されていなかった私は入れず大撃沈。
早く着いたものの、入口前で他のスタッフの誰かの到着を待つしかありませんでした。

待ち続けること20分。
始業10分前にしてやっと1人目が出勤してくる姿が見えました。
それはなんとGV2050のトップであるパティこと、パトリシア女史!
このオフィス内で一番偉い人が、一番早く出勤でございます!
私がまさかの展開に驚いていると、上司であるパティはもっと驚いた顔で私のもとへ駆け寄りました。

この時心のどこかで、
「まぁ!こんなに早く着くなんてやる気があるのね!偉い!」
と言われるかなデヘヘと期待しておりました。
そしてパティの口から放たれた言葉は…

「私、始業時刻7:30って教えたよね?もしかして他のスタッフが伝え間違えちゃった?一人で待ってて心細かったでしょう、本当にごめんね。」

これは予想外の展開でございます。
褒められるどころか、心配させてしまった上に謝られてしまいました。

「そんなことないです、ちゃんと7:30始業だと教えて頂きました」
と言うと、
「え?じゃあどうしてこんなに早く来たの?」
と、本気で意味が分からないというリアクションをされてしまい、あー…そのー…と言い淀んでいると、

「7:30始業と言われたなら7:30に来ればいいのよ。私より早く出勤した人、今まででアキコが初めてだわ!」

ものすごい常識の差を感じました。
ていうか、パティより早くオフィスに来た人が私が初めてって!
それから数日意識して周りを観察していると、私とほぼ同時期にボランティアで加入したスタッフ含め、他の人は皆確かに7:30ぴったりにやってきていることがわかりました。
「30分前出社」「新入りが最初に到着していること」に、ここでは何の価値もないのだなと学んだのです。

昼休み問題

私の所属していた部署、GV2050はダーウィン研究所の植物部門。
ガラパゴスの固有・在来植物が専門のお仕事です。

《GV2050の活動内容はこちらをご参照ください》

保全活動に興味がある人に考えてほしい、「植林」という言葉

記念すべき私のオフィスワーク初日に任されたことは、サボテンの赤ちゃんの身体測定。
月に一度ノギスで測定し、大きさや状態・成長率を記録するのです。
10cm以上の大きさまで育ったら、晴れて種を採集した島へ…つまり彼らの生まれ故郷へと還します。

ガラパゴスオオウチワサボテンの赤ちゃんたち

というわけで私は、通路を挟んで2つあるGV2050の小さなオフィスのうち、上司のデスクのあるオフィスではなく、フィールドワークで採集したサボテンの種から育てている300以上の小さな苗たちある方のオフィスで勤務することに。
合計300苗以上を一人でひとつひとつ測定していると、あっという間に気が付けばお昼休憩の時間となりました。

しかし、ななめ向かいのオフィスにいるパティはまだお昼休憩に入っていないようです。

そんな中新人の私、それもオフィス勤務初日の身が、ぬけぬけとお昼に出るのは気が引けました。
実はこの日はパティと私以外のスタッフは全員フィールドへ出ていました。
そのため、他のスタッフたちの動向を見てここにおける「暗黙の了解」察することができません。

というわけで。
私は無難に、上司であるパティがお昼休憩に入ってから自分もお昼にすることに致しました。
この部屋からは通路が見えるので、パティが休憩に出る様子は必ず見えます。
私はそれまで黙々とサボテンの赤子たちをノギスで測り続けていました。

ガラパゴスオオウチワサボテンの赤ちゃんたち アップ

それから30分後。
お昼休憩に出るパティが私の姿を発見したようで、駆け寄ってきて言いました。

「アキコ!?どうしてまだ仕事してるの!?もうとっくにお昼休みになってるわよ!」

あまりに彼女が驚くので私も驚きましたが、
「あ、私もお昼休憩いただきますね。午後の始業時刻は13:30ですよね?」

と聞くと、


「何言ってるの、休憩入るのが30分後ろ倒しになったんだから14時からに決まってるじゃない!始業時刻に従うより、ちゃんと休憩時間をフルにとることの方が優先!」

え!私の勝手でお昼休みに入っていなかったのに、フルでとっていいんですか!?
始業時刻が絶対だと思っていた私には衝撃でした。
何らかの事情でお昼休憩に入るのが遅れたら、その分午後の勤務開始時刻もスライドするのが当たり前とのこと。
それが例え5分であっても、ちゃんと5分スライドさせてお昼休憩をフルできっちり取ること!休憩こそが絶対正義!がポリシーなのだとか。

ほえ~そうなのかと話を聞いていたら、
「休憩時間になったら、周りや進行状況を気にせず手を止めて休憩していいのよ?まさかここで私が声を掛けなかったら…!あのサボテンたちを全部測り終えるまで続けてたの!?」
とパティは爆笑し始めました。

正直何がそんなにおもしろいのかわかりませんでしたが、「全部終わらせるまで固い意志で飯も食わず職人のようにサボテンの赤子を測り続けるアキコ」のイメージが相当ツボにはまったようです。

そしてこの日の出来事は
「食べることも忘れてサボテンに没頭していたアキコ」
「スーパーサボテンベビーシッター・アキコ」
としてパティにのちのちまでネタにされ、チーム内に語られることとなってしまいました。

新人が上司より先に休憩に入ったら失礼かと気を遣ったつもりのことが、まさかこんな形で伝わり事実を誇張・歪曲されて広まるだなんて思いもしませんでした。

退社時間問題

この一日で出勤・昼休みと立て続けに驚かせてきた私の行動から察したのでしょう。
午後の勤務が始まるとすぐさまパティは私のもとへやってきて開口一番に言いました。

「退勤時間は17時だからね!仕事の進行状況とか周りの人のことだとかサボテンの赤ちゃんのことだとか気にしないで、17時になった途端に帰るものだからね!」

ありがとうございます。
それを言われなかったら私はまた「新人だから最後まで残って~」と色々考えてまたもネタを投下してしまうところでございました。

まとめ

■出勤・退勤時間はきっちり時刻通りに。早めの出勤・遅い退勤が美徳という価値観はない。

■昼休みは開始時間が遅れようとフルにとること。昼食時間を削るだなんてありえない。

■新人が上司より先に○○しては~といった暗黙の了解は無い。どちらが上の立場か下の立場かを考えるよりも、人としての思いやりと気遣いを持って互いに接すること。

■日本のビジネスマナーはとにかくここでは意味がない。伝わらずにネタになってしまうことすらある。

誤解を招かぬよう申し上げておきますが、私は日本のビジネスマナーや働き方を全否定したいわけではありません。
ガラパゴスで「ハァ!?」と思ったことや「日本ではこんなことありえないのに!」と憤ったこともありますからね。
ただただ、その国・その場所で働く文化・常識は大きく異なるものだと強く実感したのです。

良かれと思ってやった行動が全く理解されなかったり、むしろ笑われてしまったりと、最初の頃は何かと戸惑っていました。
異文化の中で生きるって、文字通り学びの連続なんですよね!


♪twitterではガラパゴスやエクアドル本土の写真を毎日更新中!フォローお願い致します♪
http://twitter.com/batfisherAKIKO
♪Youtubeチャンネルも是非視聴・登録お願い致します♪
https://www.youtube.com/channel/UC9OnRJODetWIsXgCDSJ62kQ?view_as=subscriber
♪ガラパゴス諸島の保全を援助したい!と思った方はこちら(NPO法人日本ガラパゴスの会HP)♪
http://www.j-galapagos.org/

ABOUTこの記事をかいた人

ガラパゴスバットフィッシュ愛好家、NPO法人日本ガラパゴスの会スタッフ。たまたま本で見たガラパゴスバットフィッシュに大恋愛し、大学在学中に2度ガラパゴス諸島に渡航、バットフィッシュを観察。 卒業後は、ガラパゴス諸島のチャールズ・ダーウィン研究所のボランティアスタッフとして活動。およそ1年半をガラパゴス諸島及びエクアドル本土で生活した。現在、ガラパゴスバットフィッシュやガラパゴス諸島に関する寄稿、トーク、講演を行っている。