ガラパゴスマネシツグミとダーウィンの視点

ガラパゴスマネシツグミとダーウィンの視点 アイキャッチ

カメラの画像を整理しようと、少し月日が経ってから改めて写真を見返すと意外な発見をすることはありませんか?

私もデジカメの写真を久しぶりに見返していたところ…あらぁ、ガラパゴスマネシツグミだわ可愛い。

ガラパゴスマネシツグミ…?

なわけがない!

なぜなら、日付を確認するとその時期はビザの更新の都合で、ガラパゴスでなくエクアドル本土にいた時期なのです。
どうしてエクアドル本土で撮った写真にガラパゴス諸島固有種のガラパゴスマネシツグミが写っているの!?

記憶を呼び起こしてみる

この写真を撮影した当時、私はエクアドル本土の太平洋沿岸地方、マンタに来ていました。
ぼーっと高台から海を眺めているとトトトト…と近くまで歩いてきた鳥がこの写真に写っている個体でありました。
確か当時も
「うお!なんだあれ、ガラパゴスマネシツグミそっくりじゃないか!」
と思いながら私はこの鳥を撮影したのです。
そして本物のガラパゴスマネシツグミの写真と比較してみよう!と思っていたのを、それからすっかり忘れていたのでした。

それでは、皆さんもご一緒に比較してみましょう!\( ^o^)人(^o^ )/

こちらがエクアドル本土、マンタで見た個体。

ガラパゴスマネシツグミガラパゴスマネシツグミのそっくりさん

そしてこちらが、ガラパゴス諸島サンタ・クルス島の個体。

ガラパゴスマネシツグミ

に、似てるゥ

しかしよーく確認すると、目元の黒い模様の大きさが異なりますよね。

エクアドル本土の個体は目元のみを覆うサングラスのような模様ですが、ガラパゴスのサンタ・クルス島の個体は目元のみでなく頬までも黒で覆われています。

すごくそっくりなのに、どこか特徴が違う。
その違和感から、これは別の種では?と考えたのが進化論でおなじみのチャールズ・ダーウィンでした。

ダーウィンとマネシツグミ


ダーウィンはガラパゴスを訪れて、まさにマネシツグミから進化論の着想を得たと言われています。
そして、同じガラパゴス諸島内でもいくつかのマネシツグミの種があることを発見します。

これを私は勝手にダーウィン的視点と呼び、その視点を用いて今回のように似て非なる種を見比べてみることを畏れ多くもダーウィンごっこと称し、一人でデュフデュフ言いながら時折趣味で楽しんでいます。
まるで間違い探しのようで面白いのですが、どうしても違いが見つけられない時は、「グヌゥ…悔しいがもうビーグル号が出航する時間だ…私は行かねば…!」と言いながら立ち上がると、あきらめがつきます。

話がくだらないコーナーに逸れたので戻します。

エクアドル本土の個体はクロヒゲマネシツグミ(英名Long-tailed Mockingbird、学名Mimus longicaudatus)
エクアドルやペルーの主に南西部で見られる鳥で、これがガラパゴス諸島のマネシツグミの起源の種とされています。
海を渡り約1000km離れたガラパゴス諸島に到着し、環境に適応進化したのですね。

そして、上で比較写真に用いたガラパゴス諸島サンタ・クルス島のマネシツグミはガラパゴスマネシツグミ(英名Galapagos Mockingbird、学名Mimus parvulus)
サンタ・クルス島やイサべラ島をはじめ、ガラパゴス内において最も広範囲で見られる代表的なマネシツグミです。

ガラパゴスマネシツグミの嘘情報?

ところで、Wikipediaの日本語版では「他のマネシツグミと異なり、ガラパゴスマネシツグミは物真似をしない」と表記されているのですが、私は異議ありまくりでございます。

私がサンタ・クルス島在住当時のある日、普段自宅周辺で聞こえないオオハシカッコウの声がして「おや、珍しいな」と確認しに窓から覗いてみたところ、その鳴き声の主がガラパゴスマネシツグミでものすごくびっくりした経験があります。

オオハシカッコウの鳴き声は「ギューイ、ギューイ」と大変特徴的なのですが、完璧に再現していたのです。
普段のガラパゴスマネシツグミの声はそもそもトーンから全然違うのに、ですよ。
例えるなら、キティちゃんから平泉成さんの声がしたくらいの衝撃。

このように、ガラパゴスマネシツグミがものまねをすることはJulian Fitter、Daniel Fitter、David Hosking著の『Wildlife of Galápagos』でも言及されています。

ガラパゴスマネシツグミ、その興味深い鳥。

ガラパゴスマネシツグミは人をあまり恐れず、平気でこちらに近付いてきたり靴ひもをひっぱってきたりします。
道路の真ん中で派手にマネシツグミ同士がケンカしていて、私たち人間が横を通るのを躊躇してしまうこともあります。
下手に近くを通るととばっちりを受ける可能性があるからです。
彼らのそんな人間を恐れない好奇心旺盛な性格については、こちらの記事でも言及しております。

オフィスに侵入者が現れた!


きっと、ダーウィンもガラパゴス上陸当時色々ちょっかいを出されたんだろうなあ。
彼がもし存命であったなら、各生物にまつわる小話も聞いてみたいものです。

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ABOUTこの記事をかいた人

ガラパゴスバットフィッシュ愛好家、NPO法人日本ガラパゴスの会スタッフ。著書『バットフィッシュ 世界一のなぞカワくん― ガラパゴスの秘魚』(さくら舎) 。 たまたま本で見たガラパゴスバットフィッシュに大恋愛し、大学在学中に2度ガラパゴス諸島に渡航、バットフィッシュを観察。 卒業後は、ガラパゴス諸島のチャールズ・ダーウィン研究所のボランティアスタッフとして活動。およそ1年半をガラパゴス諸島及びエクアドル本土で生活した。現在、ガラパゴスバットフィッシュやガラパゴス諸島に関する寄稿、トーク、講演、メディア出演等を行っている。