南米エクアドル、ガラパゴス諸島の年越しは色々すごかった。

南米エクアドル。ガラパゴス諸島の年越しは色々すごかった。 アイキャッチ

皆様は、大晦日~元日はどのように過ごされましたか?

家の大掃除をし、紅白歌合戦などの大晦日番組を観て、年越しそばを食べて、除夜の鐘の音を聞き…というのが典型的でしょうか。
というわけで、上記の流れが一般的な日本の大晦日及び年越しであるとガラパゴスの友人に話したところ
「え?大晦日にしか放送されないテレビ番組があるの?」
と不思議がられ、
「そもそも、そうやって家の中で静かに過ごすのが信じられない!」
と非常に驚かれました。

驚いて当然だと思います。

だって、ガラパゴスの年越しって本当ににぎやかなんですもの。
パァリィ・ナイト極まれりでございますわよ!

ガラパゴスの大晦日とは?

私はガラパゴス諸島のサンタ・クルス島に住んでおりましたので、そこで経験した2015‐2016の年越しのことをお話ししますね。

ガラパゴスの大晦日の晩は、みんな島のメインストリートに繰り出します。
ちなみに、大晦日の日中は特段大晦日らしい風習はありません。
ガラパゴスでも大晦日は仕事が休みだったのですが、普通に皆休日をのんびり過ごすような感じでした。

私は現地の友人に誘われて夜10時半に待ち合わせをしメインストリートに繰り出したのですが、聞かされていた事前情報は外で年越しカウントダウンをするということくらいだったので、
「それまでのあと1時間半はどうやって時間を潰すんだろう?暇を持て余しそう」
と思っていました。

これが全く退屈しなかった。

なぜなら、外に出れば路上各所に立ち並ぶel año viejo(エル・アニョ・ビエホ)の数々!

《エル・アニョ・ビエホって何?という方はこちらの記事をご参照ください》

南米エクアドル ガラパゴス諸島のクリスマス・年末はどんなもの?

まずはこれを鑑賞しながら歩きます。

エルアニョビエホ スターウォーズ
↑スターウォーズかしら?

エルアニョビエホ おじさん
↑わ、路上におじさんが座り込んでる、と思ったらこれもエル・アニョ・ビエホでした。

各々の自由な発想で作られたエル・アニョ・ビエホを鑑賞した後は

大晦日特別屋台
大晦日特設屋台で軽食をとりながら談笑するも良し。

そして、この晩は特別に魚市場が

大晦日のビール屋
ビール屋に生まれ変わります。

《ガラパゴス名物、魚市場の普段の様子はこちらの記事をご参照ください》

世界一楽しい魚市場はガラパゴスにあり

しかしですね、ガラパゴスのこの時期って暑いんですよ。
屋外で常温で売られているこのビールのぬるさときたら。忘れられない味。

ぬるいビール

こんな感じでメインストリートは大変にぎやかなのでございます。
フェスの会場かな?という形容が的確かもしれません。

島民みんなここに集まりますから、友人知人と遭遇しまくります。
20m進むごとに一回は誰かしらに会って立ち話状態。

退屈する暇などございません。

そうこうしているとあっという間にカウントダウンの時間になってしまいました。
メインストリートに集合した人々全員で一緒に声を上げます。

5-!4-!3-!2-!1-!

年越し花火

Feliz año nuevo! 明けましておめでとうございます!

年が明けると同時に打ち上がる花火を合図に、近くにいる人々とfeliz año nuevo!と声を掛け合ってハグし合います。
ガラパゴスでは、日本で除夜の鐘がゴーンと厳かに鳴るのと対照的に、こちらではちょっとした花火大会が炸裂するのでございま…

…した。

そう、この光景は今はもう見られません。

私が年越しを経験した2015-2016の時点で既に、年越しの花火の爆音はガラパゴスの野生生物たちに多大なストレスを与えるため、やめるべきではないかという声が高まっていました。
そしてついに、この度2018-2019の年越しから、花火禁止令が正式に施行されました。

花火の打ちあがる年越しもにぎやかで楽しいものでしたが、生き物たちにストレスを与えない年越しなら、人間にとっても生き物にとっても幸せですよね!

それに、ガラパゴスの年越しは打ち上げ花火がメインイベントではない…ここからが本番なのでございます。

年が明けた!新年の大騒ぎ!そして新年初ピンチ!

いよいよここでエクアドル年越し名物。エル・アニョ・ビエホたちに点火です!

エルアニョビエホに点火したエルアニョビエホ、焼かれる。

ミニーさんが焼かれてゆく…

このように、路上に置かれたエル・アニョ・ビエホたちが一斉に火を点けられます。
あれだけの力作の数々が…メラメラゆらゆらと眩しく燃えてゆく…彼らの魂が燃え尽きる、エル・アニョ・ビエホ人生最後の瞬間の輝きなのでございます。

そして、設置されていた特設野外ステージで歌手が歌い出し(このステージももしかしたら今はもう廃止になったかもしれませんね)、

年越し特別ステージ

その音楽に合わせてそこら中でみんなが踊りだします。

新年サルサ

友人らが踊っている様子を撮影していたら、どこからともなく現れた知らない女性に
「あなたも踊らないと!」
と声をかけられ、いえ、私は大丈夫です…と言い終える間もなく、彼女の巧みな手さばきによって私はクルクルと回転していました。強制サルサ。
ラテンアメリカの文化ってすごいですよね。なんで皆さんあんなに踊れるのでしょうか。

そして30分ほど経過した頃。
一緒にいた友人のひとりが
「よーし、クラブに踊りに行くよ!」

今路上で十分に踊ったじゃん!

私はディスコやクラブの類が苦手な人間なので丁重にお断り申し上げたのですが、
「これは業務命令!」
「朝まで踊るよ!」
と説き伏せられてしまいました。
業務命令と言われたら断れないのが日本人の性。

まあ、せっかく異国での年越しを経験しているのですし、一生に一度くらいクラブに行ってみるのも社会勉強になりますものね。
ということで行ってみると、既にすごい混み具合。
年越しカウントダウン→クラブで朝まで踊る、という流れがガラパゴスの若者では通例なのでございます。

ということで意を決してダンスフロアへ参入。


…無理ィィィィ!

そもそも混みすぎて暑いを通り越して苦しいですし、踊りが苦手&クラブが苦手のダブルコンボな自分にはいたたまれない環境でした。わたしにはむりでござる。
それでも業務命令だから頑張らないと…。

そうこうしていたところ、私を連れだした友人らは死んだ顔で勝手がわからずおどおどする私に気付いたのでしょう。
流れている音楽のサビ到来に合わせて

「さあ、アキコのターンだ!」

と叫び、私を指さし盛り上げました。
私のソロダンスタイムを作ってくれたのです。
これは彼らなりの最高の気遣いであり、優しさであることは明白でございます。
ただ、それはアキコという異民族にはピンチでしかありませんでした。

どうしようどうしよう。この展開は本当に困る。
しかしフロア中の視線が私に集中している。
知らない人がヒュー!と拍手までしてくれている。
もしもここで「え…そういうのイヤなんで…」とスカした対応をしてしまったら、新年早々空気の読めないモンゴロイドがこのクラブを実にBADなムードにしてしまう。

もう…意を決して踊るしかない…!

そして私は、最高に盛り上がるダンスミュージックのサビに合わせて全力でダンスしました。
しかしその動きは、片手を上げてほのかに縦揺れしながら超低速で回転するという非常にコメントしづらいものだったのです。
言い訳をさせていただきますと、脳内ではビヨンセをイメージして一生懸命踊ったのですよ。
ただ、その理想の動きに体が全くついていかなかったのです。

この理解不能なノロノロダンスもどきに、場内が一斉に「…あっ…」となるのを手に取るように感じました。
あれだけヒートアップしノリノリだった場の空気を、私一人のダンスの力で一瞬で凍らせたのです。
人生であんなにスベったのはこの時が初めてでした。
今でもこの瞬間のことは時々夢に見ます。

新年早々あんな汚らわしいものをお見せしてしまった場内の皆様、本当に申し訳ございませんでした。

ということで本当にいたたまれなくなってしまった私。
「も、もう帰るね」と言うと誰も引き留めることなく、「うん、気をつけてね」と手を振ってくれました。

さっきまで「朝まで踊るよ!」と手を引っ張ってくれていたのに。

その後、友人らは朝6時頃までクラブで踊り続けたそうです。
そのため、元日はみんなダウン。
むしろ、ガラパゴスでは元日はダウンして過ごすためのもの。
日本ではおせち料理だとか初詣だとかお正月文化がありますが、こちらではそのようなものはありませんからね。

にぎやかな年越し、貴重な体験でした。
踊れるようになりたいな…。

ということで、本年も皆様どうぞよろしくお願い致します。

~このブログの著者の本『バットフィッシュ 世界一のなぞカワくん』(さくら舎)好評発売中!~


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ABOUTこの記事をかいた人

ガラパゴスバットフィッシュ愛好家、NPO法人日本ガラパゴスの会スタッフ。著書『バットフィッシュ 世界一のなぞカワくん― ガラパゴスの秘魚』(さくら舎) 。 たまたま本で見たガラパゴスバットフィッシュに大恋愛し、大学在学中に2度ガラパゴス諸島に渡航、バットフィッシュを観察。 卒業後は、ガラパゴス諸島のチャールズ・ダーウィン研究所のボランティアスタッフとして活動。およそ1年半をガラパゴス諸島及びエクアドル本土で生活した。現在、ガラパゴスバットフィッシュやガラパゴス諸島に関する寄稿、トーク、講演、メディア出演等を行っている。