海外生活の壁…エクアドル米問題を乗り越えた方法

海外生活の壁…エクアドル米問題を乗り越えた方法 アイキャッチ

「エクアドルの主食って何?」とよく聞かれます。
実は意外にも、日本と同じ米食の国なのです。

ただ、日本米とは全然違います。
とってもパサパサパラパラなのでございます。
「あぁ、てことはタイ米みたいな感じね!」
とイメージされるかもしれませんが、タイ米よりもパサパサしておりますの。

とは言っても、エクアドル食ではご飯+サラサラのルーのような組み合わせのものも多いので、旅行で訪れた場合はこういったメニューを選べばパサパサパラパラ感も気にならず、おいしく頂けます。
そして何より、エクアドル食は日本人の味覚にもとてもおいしいです!

セコ・デ・ポジョという料理

セコ・デ・ポジョという料理

「ん?じゃあ全然困らないじゃん!」
とつっこもうとした方、お待ちください。
暮らすとなると話は別なのです!

長期で暮らすとなると毎日外食とはいかず、自炊生活(ガラパゴスではお弁当もお惣菜も売っていません)。
どうしたって日本米が恋しくなってくるのですよ…。

だから私は、このエクアドル米をいかに日本米風に炊くか、涙ぐましい試行錯誤を重ねたのです…!

日本米は手に入らないの?

エクアドルは日本人がとても少ない国です。
日本米はほとんど流通していません。
しかし、首都などの大都市にあるアジアンマーケットでは、日本米を購入することもできます。
が、べらぼうに高いです。
そしておそらく、日本の日本米ではないような…近隣諸国で育った日本米を輸入したものかと思われます…味や食感が日本のそれと微妙に異なります。

最善策は、お隣の国のペルー米を使うこと!
ペルー米は一見エクアドル米と同じで長細いですが、炊いてみるともっちりとしてまるで日本米のよう!
お値段も日本米よりずっと安価。
エクアドルでも都市部の大きなスーパーでは取扱いがあります。

しかしですね。

ガラパゴス諸島ではそれらが手に入らないのですよ。

隣国のペルー米ですら一切売っていません。
アジアンマーケット?日本米?ハハッ、どんなユートピアだよそれ、という環境です。

しかし、私の住んでいたサンタ・クルス島の一番大きなスーパーでは時々、BOTANというサンフランシスコ産の日本米を名乗るものがそれはもうとんでもない高価格で並んでいました。
あまりの日本米欲に超高価格にも関わらず血迷って何度か買いかけましたが、一度実食したことのある日本人の方に「あれは多分日本米じゃない。まずい。」と教わり、結局購入しませんでした。

というわけで、私はエクアドル米をどうにか日本米「風」に仕上げなければならなかったのです。

STEP1、大量の水で炊いてみる

ガラパゴス諸島(というかエクアドル全域)では、お米は鍋で炊きます。
(日本のような炊飯器はありません。時折、蓋付のマルチクッカー=簡易炊飯器のようなものがあるお宅もあります。)

どうやって炊こうかと考えた時、私はひらめきました。
パラパラパサパサのエクアドル米も、もしかしたら水を増やして炊けば粘り気がでるのではないか…!

というわけで、はじめに鍋に50gのお米と100ccの水を入れて火をつけ、様子を見ながら少しずつ少しずつ水を足していきました。
すると…

日本米風!

粘り気が出現!日本米風に仕上がりました!!

この仕上がりに至るまでの水量の最終結果は
エクアドル米50gに対して360ccの水。

つまり、エクアドル米に対して7.2倍の水で炊けばいいということだな!
と答えを導きだし、
続いて鍋に200gのエクアドル米と1440ccの水を最初からセットし火にかけ、炊きあがりを待ちました♪


見事なアラビックヤマトができあがりました。

確かに粘り気は出たのです…が、ものすごく大きな糊の塊に仕上がってしまったのです。
これは、もはや米ではない…図画工作を感じさせる、ノスタルジーの塊…。

その後、最初の少しずつ水を足していく炊き方で再び試しましたが、あれは奇跡だったのか、再び丁度いい粘り気の出現を引き出すことはできませんでした。

ということで、エクアドル米を大量の水で炊くという方法はボツになりました。

STEP2、無理矢理粘り気を出す

水で粘り気を引き出せないなら、何か添加して無理矢理粘り気を出すしかない。
粘り気…でんぷん…。
そうだ、片栗粉を入れよう!

しかし、残念ながら片栗粉はここには存在せず、代わりにキャッサバ粉(タピオカ粉、almidon de yuca)を用いることにしました。
試しに少量入れて炊いてみましたが、全然ダメ。
ということで、「これ、粉で米が埋もれない?」と心配になるほど極端に多く入れてみると…

大当たり!!!
ナイスな粘り気が、出たのです!!!

というわけで、導き出した結果が
エクアドル米100g:水200cc:キャッサバ粉40g
で炊く、という方法でした。

キャッサバ粉は毎回厳密な量は量りませんでしたが、「え、これ明らかに入れすぎでしょ?」と思ってからが本番と思ってさらにボスボス投入すると大抵成功します。
遠慮した量では、全然粘り気がでません。

そしてそんなキャッサバ粉の助けで日本米風に炊いたお米に、日本からの海苔やごましお、ゆかりを加え…

悲願のおにぎり

悲願のおにぎり。

おいしい…おいしいよ…祖国の味…。

この方法で私はガラパゴス生活、エクアドル生活を乗り越えたのでした!!
海外生活でお困りの方、片栗粉やキャッサバ粉は使えますよ!
多少舌触りが粉っぽくなりますが、私はにおいも含めさほど気になりませんでした。
炊く前に数時間、お米を吸水させておくとより粘り気が出ますよ♪

しかし、実は最強の方法があった…

そんなこんなでこの国での1年半の生活を終えようとしていた頃。
エクアドルのキトに長く住む日本人ご夫婦とお料理会をする機会に恵まれました。
その時に教わった衝撃の事実…

エクアドル米は、何も加えなくても圧力鍋で炊けば日本米のように仕上がる。

帰国数日前にしてやっと知った事実…そうか、そうだったのか…。
あんなに過剰にキャッサバ粉摂取しなくても、圧力鍋があればよかったのか…。
あの苦労は、あの苦労は…ah…。

というわけでまとめです。
①圧力鍋さえあれば無敵。
②普通の鍋しかない場合は、過剰な量の片栗粉やキャッサバ粉と共に炊きましょう。

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ABOUTこの記事をかいた人

ガラパゴスバットフィッシュ愛好家、NPO法人日本ガラパゴスの会スタッフ。著書『バットフィッシュ 世界一のなぞカワくん― ガラパゴスの秘魚』(さくら舎) 。 たまたま本で見たガラパゴスバットフィッシュに大恋愛し、大学在学中に2度ガラパゴス諸島に渡航、バットフィッシュを観察。 卒業後は、ガラパゴス諸島のチャールズ・ダーウィン研究所のボランティアスタッフとして活動。およそ1年半をガラパゴス諸島及びエクアドル本土で生活した。現在、ガラパゴスバットフィッシュやガラパゴス諸島に関する寄稿、トーク、講演、メディア出演等を行っている。