まさかこんな場所で!?タチヨタカ遭遇記

まさかこんな場所で!?タチヨタカ遭遇記

エクアドル、アンデスの雲霧林。
世界有数のバードウォッチングスポットとして名高いミンド(Mindo)には、信じられないほど色彩豊かで美しい野鳥が数多く生息しています。
ガラパゴス諸島のチャールズ・ダーウィン研究所にいた私ですが、ビザ更新手続きの都合でエクアドル本土に戻って数か月待機しなければならないことがあり、生き物好きな私はその期間を毎度ここミンドで過ごしていました。
首都キトからバスで2時間なのに、楽園のような静けさ&野生生物天国なんですよ!
あのオリンギートに遭遇できるのもこのミンドエリアです。
ここでの暮らしは、宝石のようなハチドリたち、フウキンチョウ、オオハシ等に日常的に囲まれる大変幸せなものでした。

日の目を浴びる鳥と、浴びない鳥?

ミンドを訪れる観光客の多くが目的とするのは、先にも挙げたハチドリやオオハシなど。
「エクアドル ミンド ツアー」と検索して表示されるウェブサイトに並ぶのだって、現地の観光ガイドが手渡してくれるパンフレットに載っているのだって、これらの「ミンドを象徴する鳥」たち。
彼らはいわば日の目を浴びる鳥と呼べるでしょう。
見た目にも鮮やかで誰もが是非見てみたいと望む鳥たちです。

では日の目を浴びない鳥とは。
例えばタチヨタカ。
なんてったって知名度が低い。
木に擬態できちゃうほど地味。
ミンド鳥類アイドルグループMND48にいたとしたら、おそらく毎年総選挙圏外なのではないでしょうか。
いや、立候補すらしないかもしれない。
だから私はタチヨタカに伝えたかった、君にもちゃんとファンがいるんだってこと。

「タチヨタカを見つけた!」

ミンドでできた生き物好き仲間のひとりが、ある日嬉しそうにそう言ってカメラを抱えてやってきました。
カメラの画面に映し出されたのは、タチヨタカの一種のオナガタチヨタカ(long-tailed potoo)
※タチヨタカとは種の名前ではなく、タチヨタカ属の総称です。
それも親子でいるではないですか!
なんということでしょう!
これは是非見に行きたいと、さっそく行くことになりました。

そもそもタチヨタカとは

紹介が遅れましたが、タチヨタカとは熱帯アメリカ地域及び西インド諸島に生息する鳥で、「変な顔の鳥」とネットで話題になったり、「ダーウィンが来た!」で特集されたこともあります。
外敵が近付くと目を閉じてみょーんと首を垂直に伸ばし静止して、木に擬態するとてもユニークな鳥。
夜行性のため、日中は
木にとまって眠っています。
活動が始まる夕方以降は住処から飛んで行ってしまうとのことで、私たちは後日昼間に謁見することに致しました。

タチヨタカ、住処まで地味だった!


どんな森の秘境にいるのかしらとわくわくしていたら、ここだよと辿り着いたのは一軒の民家。
え?と思っていると、先に私たちの来訪の連絡を受けていたらしい家主が出てきました。
「今ちょうど親子でいるよ。びっくりさせないように十分に距離をとって観察してね。」
と通されると、広い庭が見えたため「なるほどこの緑豊かな庭で」と納得していると、その庭を素通りし家の裏へ導かれるではないですか。
辿り着いたのは洗濯物が沢山干されている裏庭。
そこから真正面に見える木に彼らはとまっていました。
表庭ですらなく裏庭を選ぶだなんて!
住処まで徹底して地味なところを選んでしまうのね!とその質素さにキュンキュンしてしまいました。

あくびをするオナガタチヨタカと、そのお腹に埋もれる幼鳥

こちらがそのオナガタチヨタカ親子です。
木の上で大あくびをする母鳥と、そのお腹に半分埋もれる幼鳥。

距離をとって観察していたこともあり、しばらくはリラックスモードだったオナガタチヨタカの親子でしたが、私たちに撮影されていることに気付いたのか母鳥がおもむろにみょーんと伸びて静止。
木のふりを始めたではありませんか。

母鳥が突然伸びて驚くタチヨタカの幼鳥
お母さんが突然伸びてびっくり!

僕も伸びた方が良いのかな?と母鳥を見るオナガタチヨタカの幼鳥
「…僕も伸びた方がいいのかな?」とでも言いたげなお子さん。
まだまだ幼鳥は危機感が薄いようで、静止することもなくしばらくうごうごしていました。

そしてやっと、お母さんの真似をしてみょーん。

親子で伸びるオナガタチヨタカ
優れた擬態力が分かるよう、ちょっと角度を変えて写真を撮ってみました。
いかがですか?これではなかなかタチヨタカが隠れているとは気づきませんよね!

そして、この状態で1分は止まっていた幼鳥でしたが…

もう動いてもいい?と言いたげなオナガタチヨタカの幼鳥
「…ねぇ、まだこのまま?もう動いていい?」と薄目を開けてお母さんを確認。

…たまらんな!!

長居して親子にいらぬストレスを与えるのも悪いので、写真を撮影したら早々と撤退しました。
オナガタチヨタカの親子、そして家主の方、本当にどうもありがとうございました!

タチヨタカに会うには?


擬態の天才のタチヨタカを自力で見つけるのはまず不可能です。
ミンドのバードウォッチングガイドたちの間では「今○○でタチヨタカが見られる」「○時頃がベスト」と情報共有が常にされているとのことですので、是非雲霧林の穏やかな町ミンドを訪れて、バードウォッチングツアーに「タチヨタカが見たい」と言って参加してみましょう。
ミンドの中心地で店を構えるツアーショップで申し込むと、最もポピュラーな早朝6時出発で3~4時間予定のCascada Nambilla方面へのハイキングコースのプライベートツアーで平均相場が約60ドル(1人当たりの値段、スペイン語/英語対応)ほどです。
ガイドたちはリクエストのあった鳥を探すためにウォッチングポイントを計画しておいてくれるので、タチヨタカの他にも見たい鳥があれば申込み時に伝えておきましょう~!

~このブログの著者の本『バットフィッシュ 世界一のなぞカワくん』(さくら舎)好評発売中!~

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ABOUTこの記事をかいた人

ガラパゴスバットフィッシュ愛好家、NPO法人日本ガラパゴスの会スタッフ。著書『バットフィッシュ 世界一のなぞカワくん― ガラパゴスの秘魚』(さくら舎) 。 たまたま本で見たガラパゴスバットフィッシュに大恋愛し、大学在学中に2度ガラパゴス諸島に渡航、バットフィッシュを観察。 卒業後は、ガラパゴス諸島のチャールズ・ダーウィン研究所のボランティアスタッフとして活動。およそ1年半をガラパゴス諸島及びエクアドル本土で生活した。現在、ガラパゴスバットフィッシュやガラパゴス諸島に関する寄稿、トーク、講演、メディア出演等を行っている。